グレーテルの記憶

author : 白倉由美
publisher : 講談社
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漫画家・作家の白倉由美さんの最後の漫画作品を収録した記念作品集。漫画という形式はとっていますが、繊細な気持ちの断片が織り重なった内容で、その後、白倉さんが小説の方にフィールドを移されたのも自然な気がしました。読んでいてアメリカの抽象画家のマーク・ロスコの絵が思い浮かんだので、グラデーションと色の微妙な違いでロスコのような深い奥行きが出せないものかと考えました。最終的に、外箱は紙の表面を光らせるUVクリアー加工、本体は、無光沢のカバーから、表紙のブルーが透けて見えるようにししました。光る水面と深い海底のような雰囲気が、「記憶」というテーマともうまく合って、とても気に入っています。

P.S.
カバーは最初、半透明のトレーシングペーパーに青色を印刷していましたが、トレーシングペーパーはインクがのると表面がピカピカ光って狙いの深みが出ません。色校正を4回もお願いしたにもかかわらず、すべて失敗し、最終的に「クロマティコ」という最初から青く着色されたトレーシングペーパーを使うことにしました。この「クロマティコ」という紙は、あまりに高額なために出版業界で「禁止令」が出ている紙。色校正を4回も取って、さらに「クロマティコにしてくれ」と頼むのはさすがに気が引けましたが、編集者の太田さんはにこやかに(たぶん)オッケーしてくださいました。そのかいあってか、共同印刷主催の「造本装幀コンクール」で日本書籍出版協会理事長賞(コミック部門)を受賞しました。■

add on 2010.07.05

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