装丁を始めて3冊目の本。三木・モトユキ・エリクソン 著。大塚英志さん原作の漫画『多重人格探偵サイコ』の登場人物(実在の人物をモチーフにしている)ルーシー・モノストーンについて、インタビューや資料などで構成したドキュメンタリー手法の小説です。
ルーシー・モノストーンに関するたくさんの資料のなかに、ちょっととぼけた味の図版を見つけました。カバーにはその図版と、小さな英文を入れて、それ以外には何も入れないことに。表紙にタイトルが入っていないのもどうかと思いましたが、内容が「謎」の本ということもあって、編集の滝沢さんもオッケーしてくださいました。
P.S.
人物の図版部分は、透明に光るクリアー箔押し加工を施しています。当初ぼくが指定したのは、UVクリア加工という、光って盛り上がる加工でしたが、角川書店・製作部の松木さんが「これだったら、盛り上がるUVクリアよりも、凹む透明箔の方が良いと思います」と提案してくださいました。確かに、クリアー箔の方がこの本に合っていました。松木さんは、ひとつ前に装丁した『サブカルチャー反戦論』も担当されていて、刷り上がりの色が若干薄かったことを、わざわざ事務所まで謝りにきてくださいました。こちらは20代後半の若造なのに、一流の装丁家として扱っていただいてとても感激した記憶があります。ふつう、出版社の製作部では、本にかかるコストを抑える方向で考えるものです。UVクリアーよりも、クリアー箔の方がコストは高いと聞いて、こちらがビックリしました。コストが高い方を勧める製作部の方には、後にも先にも、松木さんの他にお会いしたことがありません。いつも僕の装丁を褒めてくださって、とても自信をつけていただきました。松木さんは現在、角川書店を退職されてジャズバーを経営されているとか。■
add on 2010.07.05






Next
